東京日本橋AQUA歯科・矯正歯科 包括CLINICです。今回は、矯正治療を終えた後に多くの方が不安に感じる「後戻り」と、その対策として当院が重視している口腔筋機能療法(MFT)について解説します。
「後戻り」とはどのような現象か
矯正治療によってきれいに並んだ歯は、治療完了直後がゴールではありません。歯は治療後もわずかに動き続ける性質があり、装置を外した後に、整えたはずの歯並びが再び乱れてしまう現象を「後戻り」と呼びます。
多くの方が矯正治療にかける時間・費用・労力を考えると、後戻りは非常に避けたいトラブルです。にもかかわらず、後戻りは決して珍しい現象ではなく、矯正治療を経験した方であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
なぜ後戻りが起こるのか
後戻りの原因はいくつか考えられますが、見落とされがちなのが「歯並びを乱していた根本的な原因が、装置による歯の移動だけでは解決されていない」というケースです。
たとえば、舌で前歯を押す癖(舌癖)や、口をぽかんと開けている癖、頬杖、うつ伏せ寝といった日常的な習慣・癖は、装置によって歯を正しい位置に動かしても、そのまま残っていれば、再び歯を元の位置(乱れた位置)に戻そうとする力として働き続けます。
つまり、歯並びが乱れていた「結果」に対して装置で対処しても、それを引き起こしていた「原因」となる筋肉の使い方や癖が改善されなければ、後戻りが起こりやすくなってしまうのです。
後戻りを防ぐカギ「MFT(口腔筋機能療法)」とは
MFT(Myofunctional Therapy)とは、舌や唇、頬など、口周りの筋肉の正しい使い方を身につけるためのトレーニングです。日本語では「口腔筋機能療法」と呼ばれます。
具体的には、舌を正しい位置(安静時に上あごに軽く触れている状態)に保つトレーニングや、正しい飲み込み方(成熟型嚥下)を身につけるトレーニング、口を閉じる筋肉を鍛えるトレーニングなどが含まれます。これらのトレーニングを通じて、歯並びを乱す原因となっていた筋肉のクセそのものを改善していきます。
矯正装置によって歯を正しい位置に動かすことと、MFTによって歯並びを乱す原因となる筋機能を改善することは、いわば車の両輪のような関係にあります。装置だけで歯の位置を整えても、原因となる筋機能が改善されなければ、後戻りのリスクは残り続けてしまいます。

当院における後戻り対策の考え方
当院では、矯正治療後に歯並びが再び乱れてしまう「後戻り」をできる限り防ぐため、単に装置で歯を動かすだけでなく、歯並びが乱れた根本的な原因に対してアプローチすることを重視しています。その一環として、MFTを含めた包括的な治療を行い、後戻りの少ない、完成度の高い矯正治療を目指しています。
歯並びの乱れの原因が舌癖や口呼吸などの機能的な問題にある場合、装置による歯の移動と並行して、あるいは前後してMFTを取り入れることで、治療後の安定性を高めることができると考えています。
MFTが特に重要になるケース
MFTは、特に次のようなケースで重要性が高いと考えられています。
- 開咬(前歯が噛み合わない状態)があり、舌癖や指しゃぶりが原因と考えられる場合
- 出っ歯(上顎前突)があり、舌を前方に突き出す癖が関係している場合
- 口呼吸の習慣があり、口を閉じる筋力が弱い場合
- お子様の歯並びで、飲み込み方や舌の使い方に気になる点がある場合

こうしたケースでは、装置による歯の移動だけでなく、原因となっている筋機能へのアプローチを治療計画に組み込むことで、より安定した治療結果を目指すことができます。
後戻りを防ぐために患者様にできること
MFTによるトレーニングは、クリニックでの指導だけでなく、日常生活の中でご自身が意識して取り組んでいただくことが重要になります。舌の位置、飲み込み方、姿勢や呼吸の仕方など、無意識に行っている習慣を見直すことは簡単ではありませんが、継続することで少しずつ改善していきます。
また、矯正治療後に使用する保定装置(リテーナー)を、指示された通りに正しく使用することも、後戻り防止のために欠かせません。リテーナーの使用とMFTを組み合わせることで、より安定した歯並びを長期的に維持しやすくなります。
まとめ:後戻りは「原因」への対策で防ぐ
矯正治療後の後戻りは、多くの方にとって大きな不安要素です。しかし、後戻りの背景には、歯並びを乱していた根本的な原因が残っていることが少なくありません。装置による歯の移動だけでなく、MFTなどによって原因そのものにアプローチすることが、後戻りの少ない、完成度の高い矯正治療につながると当院では考えています。
矯正相談のご案内
過去に矯正治療を受けたが後戻りしてしまった、これから矯正治療を受けるにあたって後戻りが心配、といったお悩みがある方は、ぜひ一度、当院の矯正相談にお越しください。原因の見極めから、後戻りを防ぐための治療方針まで丁寧にご説明いたします。