コルチコトミー
外科処置を
併用する矯正治療とは
ここ数年、世界の矯正の大きな関心の一つに歯の移動速度の促進や矯正期間の短縮があります。
様々な歯科的トラブルを抱える患者において、矯正治療は避けては通れない大切な治療です。しかしながら成人矯正治療においては、矯正治療前の歯周治療、根管治療などの初期治療そして矯正後のインプラントなどの補綴治療を考慮するとトータルの治療期間は長期になります。
そこで矯正治療の質を低下させず期間を短縮できることは重要なテーマであると当院は考えております。
現在、歯の移動の短縮を目的とした手法には、大きく分けて2つの方法が行われています。
一つは、コルチコトミーに代表される“外科的侵襲を伴う方法”。もう一つは、振動刺激や光の刺激で骨の代謝をあげる“非外科的な方法”です。
コルチコトミーの歴史は古く約50年以上の歴史がありその効果のメカニズムは、RAPと呼ばれる骨の著しい改造現象である事が報告されています。
しかし、長い歴史があるにも関わらずその臨床的効果においては高いエビデンスを持った論文が発表されずに歴史の中に埋もれて来ました。
しかし、2000年に入ってからWilcko兄弟(矯正医と歯周病の専門医の兄弟)が従来のコルチコトミーと歯槽骨の増大を狙った骨移植を組み合わせた手法であるPAOO法(厳密にはコルチコトミーとは異なる方法です)を発表してから状況は一遍し歯周治療と矯正の双方の専門医の高い関心を得ることになり、2015年にAJO(アメリカ矯正歯科学会誌)に発表されたシステマティックレビューをかわきりに多くのエビデンスレベルの高い論文が発表されるようになり、現在最も信頼出来る歯の移動速度の促進方法であると認識されるようになりました。
また、その手法も様々な方法が開発されより低侵襲な方法が報告されています。
しかし、どんなコルチコトミーでも歯の移動が促進される期間は一定期間に限られる為に矯正治療期間が2年以内とか1年以内とか具体的な期間を示す事はできません。
そこで、当院ではコルチコトミー効果を最大限に発揮する為に適応や方法を慎重に検討した上で行なっています。
コルチコトミーの
メリット
- 歯の移動を一定期間に限り促進する事ができる。
コルチコトミーの
デメリット
- 一般的な口腔外科手術と同様の外科的リスクが考えられる。
- 歯の移動促進は、一定期間に限られる。
- 矯正以外に追加で手術費用がかかる。
コルチコトミー
外科処置を併用する
矯正治療に関する
よくある質問
コルチコトミーによって、確かに一定期間矯正移動は早くなりますが、実際にどのぐらい矯正治療期間が2年以内とか1年以内とか具体的な治療期間を示す事は出来ません。
また、成人矯正おいては10代の矯正に比べて歯の移動速度には個人差が大きく予測する事は出来ません。
しかし、同じ人で仮にコルチコトミーを行なった場合と行わなかった場合とを比べた場合には確かにコルチコトミーを行なった場合には、治療期間を短縮出来る可能性があります。
目的や症状に応じて全体の歯に行う場合と部分的に行う場合があります。
コルチコトミーには、重篤な後遺症やリスクは特別報告されておりません。
しかし、一般的な口腔外科的手術と同等の外科的リスクが考えられるますので、当院では全身疾患、喫煙歴など全身状態はもちろん、CTスキャンなどを含めた精密矯正検査によって適応や方法を慎重に検討した上で行なっています。