開咬とは?
開咬とは、字のごとく奥歯で噛んだ場合に前歯が噛み合わない重篤な不正咬合状態を指し、オープンバイトとも呼ばれます。
また、奥歯と前歯の中間部分(小臼歯)が噛み合わない“ラテラルオープンバイト”と呼ばれる状態も稀にみられます。
原因
開咬の原因には、遺伝が関与する骨格性の原因、舌癖や指しゃぶりなどの悪習癖が原因といわれています。
また、舌癖の原因の一説には、以下のような嚥下パターンの異常が考えられています。
通常、赤ちゃんの時の嚥下(物を飲み込む動作)パターンは、幼児型嚥下といわれ舌を前に突出させて物を飲み込むような舌の使い方をします。
しかし、乳歯前歯が生え揃うに連れて次第に舌を前に突出させない成熟型嚥下に移行していきますが、この移行が上手くいかず幼児型嚥下が成人まで残ってくると難治性の開咬になっていくことがあります。
一方、成人に到るまで残っている幼児型嚥下癖を治すのは、口腔周囲筋のバランスを再構成させるトレーニングプログラムが通常の矯正治療に加えて必須です。
将来のリスク
開咬は、最も有害な噛み合わせ(不正咬合)といっても過言ではありません。
我が国の歯科医師会が推進している8020運動(80歳で20本以上自分が残ることを目指した歯科治療推進運動)達成者には開咬がほぼ存在しないことからも将来入れ歯になる確率が非常に高い極めて危険な状態といえます。
この理由は、開咬状態では奥歯へ過大な負担が加わり虫歯や歯周病にかかりやすくしていることが原因と考えられます。
また、開咬は多くの歯を失うだけでなく顎関節の変形を引き起こす危険性も高いとの報告も多数あります。
このような、開咬ですが実は矯正治療も最も難しい症例と考えられております。
開咬に関する
よくある質問
開咬には、上記で説明しました通り様々な歯科的問題の原因となる可能性が高い噛み合わせです。
出来ることならば、出来るだけ若い時の矯正治療が推奨されます。
しかし、開咬は矯正治療がもっとも困難な不正咬合の一つでもあります。必ず経験豊富な矯正専門医に相談される事をお勧めいたします。安易な部分矯正はお勧めできません。
さらに、もし矯正をお考えの患者さんが20歳以上の成人である場合には、顎関節症や歯周病、補綴治療などを含めた総合的な診断力を持った矯正専門医に相談される事をお勧め致します。
オープンバイトの治療は矯正治療がもっとも困難な不正咬合の一つでもあります。
したがって、矯正移動のコントロールが不十分になる可能性が高いマウスピース型装置(インビザライン)やリンガル矯正(裏側矯正)での治療は原則推奨されません。
オープンバイトの治療は矯正治療がもっとも困難な不正咬合の一つでもあります。
したがって、状態によっては、抜歯や外科的手法を併用しなければならない可能性もあります。
しかし、口腔状態によっても治療方針は異なるので先ずはお気軽に矯正相談にてご相談ください。
結論は、もしあなたが歯の健康を心配で“将来、入れ歯にはなりたくない“歯を出来るだけ残したい”と考えるのであれば、たとえ健康な歯を抜歯してでも矯正治療を行う事をお勧めします。
健康な歯を抜歯すると勿体無い、自然が一番と思われる方もいるかもしれませんが、それは大きな誤解をしている可能性があります。
我々人類のアゴの大きさ・形は進化によって変化しております。
しかし、歯の進化(歯の数・形・大きさなど)は歯胚(歯が生える前のの種みたいなもの)がアゴの骨の真ん中にある為に、十分な環境変化を受けることが出来ずにその進化がアゴの骨に比べて遅れているといわれております。
また、歯の数や形も実は、アゴの進化に遅れながらも数は少なく、形は小さくなる傾向が統計学的には表れております。
しかし、アゴの進化と歯の進化のタイミングや程度が必ずしも一致しておらず不正咬合が発生します。
矯正の抜歯では、実は本来無くても良いと考えた歯を第一選択して抜歯します。
また、結果的に抜歯矯正によって“機能している歯”(きちんと咬合し活躍することが出来る歯)は逆に増えます。
さらに、日本歯科医師会が高齢者の歯の健康の目標としている8020(80歳で20本以上自分の歯を残しましょう)は、たとえ抜歯矯正で一般的に行われる上下2本ずつの抜歯(合計で4本、親知らず含めると合計8本)を行なったとしても、24本は残る計算になります。
このような抜歯矯正は、今から100年以上前(インプラント治療は30年前から普及)から行われて近代矯正治療の主流の考えとして世界中で行われている確かな方法です。
以上の理由から、歯を出来るだけ残すことが出来る歯並びは、すべての歯がキチンと機能(それぞれの役割)を果たす事が出来る歯並びを指し、単純にたくさんの歯を持っている事では決して無い事が理解できると思います。
開咬例
case症例1
- 初診時年齢
- 28歳
- 主 訴
- 開咬
- 抜歯/非抜歯
- 上下顎左右4番抜歯
- 治 療 期 間
- 2年6ヶ月
- 費 用
- 80万円
- 治療の
リスク
及び副作用 - 歯の移動による痛み
装置が粘膜に当たることによる口内炎
ブラッシング不良による虫歯・歯周病の発生
- 治療内容/
装置 - マルチブラケット
case症例2
- 初診時
- 40歳/女性
- 主 訴
- 開咬
- 抜歯/非抜歯
- 上顎右側5番抜歯、上顎左側4番抜歯、下顎左右5番抜歯
- 治 療 期 間
- 3年4ヶ月
- 費 用
- 約100万円
- 治療の
リスク
及び副作用 - 歯の移動による痛み
装置が粘膜に当たることによる口内炎
ブラッシング不良による虫歯・歯周病の発生
- 治療内容/
装置 - マルチブラケット
case症例3
- 初診時年齢
- 23歳
- 主 訴
- 開咬
- 抜歯/非抜歯
- 上下顎左右4番抜歯
- 治 療 期 間
- 4年
- 費 用
- 約100万円
- 治療の
リスク
及び副作用 - 歯の移動による痛み
装置が粘膜に当たることによる口内炎
ブラッシング不良による虫歯・歯周病の発生
- 治療内容/
装置 - マルチブラケット