顎関節症とは?
どんな病気?
口を開けたり閉めたりするとカックン、もしくはゴリゴリと音がする、口を大きく開くと痛みがある、もしくは十分に口が開けられない…。
これらは「顎関節症」の症状です。
症状の重さは人それぞれですが、場合によっては硬いものが噛めない、大きいサイズの食べ物が食べづらい、大きなあくびが出来ないといった症状が現れることもあります。
顎関節症の治療では、
噛み合わせの治療は
第一選択ではない?
噛み合わせと顎関節症状を
切り離して考える必要
2010年に米国歯科研究学会(AADR)が「顎関節症の基本治療の原則」を発表しました。現在日本顎関節学会、日本補綴歯科学会もこの考え方を取り入れています。
要約すると、
「顎関節症の基本治療は、患者さん自身の癖や精神的なストレスからくる問題のある行動に原因がある。そのため行動認知療法や理学療法、マウスピースなどを主体とした保存的な治療が原則である」とされています。
つまり、顎関節症症状の多くはマウスピースの装着や、カウンセリングによる患者さん自身の注意や意識で改善する、ということです。
ただし、難治性の場合、患者さんがご自身の嚙み合わせへの違和感や強いこだわりを感じ矯正治療を含む嚙み合わせの治療を行ってしまうと、逆に症状が複雑化してしまうことがあります。
難治性の顎関節症治療には、心療内科など歯科以外の専門分野と連携し、多角的に診断し治療を行うことがとても大切となってきます。
当院での顎関節患者さんへの対応
診断
※稀に顎関節症とは異なる病気の場合があります。
治療開始
症状軽減・経過観察
多くの方は、マウスピースや日中の食いしばり等の癖を止める事を指導する事で2週間程度で改善していきます。しかしながら、経過が数ヶ月以上続く場合などは行動認知療法や心療内科治療などのより専門的な対応が必要となる場合があります。このような場合には、高次医療機関へご紹介します。
顎関節症は、患者さん自身の癖や精神的感情的起伏からくるストレスなどに本質的な原因があります。ライフスタイルの見直しなどの見直しなどもとても大切になります。
矯正治療をご希望の場合
原則的に、顎関節症状の改善を目的とした矯正治療は、現在、国際的に推奨されておりません。
当院では、顎関節症状をマウスピースなどで改善した後に、患者さんの希望や医学的メリットなどを総合的に考慮した上で、矯正治療をご提案しております。
参考資料
- Clinical Practice Guidelines for Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. American Association of Orthodontics
- Chales S Greene et al. Orthodontics and the temporomandibular joint: What orthodontic providers need to know. Quintessence International 2017;48:799-808.
- 顎関節症治療の指針2018 日本顎関節学会
- IOS※(包括的矯正研究会)による顎関節症と矯正治療に関する調査
- ザ・クインテッセンス 2019年8月号 著書 綿引淳一
包括的矯正歯科治療へのいざない 連載 第二回 包括的矯正歯科治療における顎関節・咬合に関して抑えておきたいポイント
※ IOSとは:当院の院長が代表を務める、包括的矯正治療™️(インターディシプナリーオーソドンティックトリートメント™️)に関する研究・研修を行う全国の矯正専門ならびに他の専門歯科医から構成される学会