「矯正治療を受けたいけれど、歯周病があっても大丈夫?」「歯周病の治療と矯正、どちらを先にすればいい?」──このようなご質問は、当院にもよく寄せられます。
答えは、「矯正と歯周を別々に考えるのではなく、最初から連携させた計画を立てることが重要」です。これが、当院が提供する「包括的歯科治療(Interdisciplinary Treatment)」の考え方です。
1. なぜ矯正と歯周を「別々」にしてはいけないのか
従来の歯科医療では、矯正は矯正専門医、歯周は歯周専門医、補綴(かぶせ物)は補綴専門医というように、専門領域ごとに分かれて治療を行うケースが一般的でした。しかしこのアプローチでは、以下のような問題が生じることがあります。
矯正治療中に歯周環境の悪化が見逃される。矯正後に補綴治療を行ったが、咬合(かみ合わせ)がうまく機能しない。歯周病の状態が整わないまま矯正を始めたことで、骨量不足の状態で歯が動き、歯根吸収や歯周組織のさらなる喪失が起きる。
こうした問題を防ぐためには、治療の初期段階から各専門分野が情報を共有し、統合的な治療計画のもとで進めることが必要です。
2. 包括的治療(Interdisciplinary Treatment)の定義と意義
Interdisciplinary Treatment(インターディシプリナリー・トリートメント)とは、矯正・歯周・補綴・口腔外科などの専門知識を統合し、患者さまの口腔機能・審美・長期的安定を最適化する治療アプローチです。
この考え方は欧米では1970年代から提唱されており、特に複雑な症例(歯周病を伴う成人矯正・多数歯欠損・顎関節症合併など)においてその有効性が多くの文献で報告されています。当院の院長・綿引淳一は、このInterdisciplinary Treatmentの理念をクリニックのコア・コンセプトとして据え、日々の臨床を行っています。
3. 包括的治療の具体的な流れ
当院での包括的治療は、おおむね以下のような流れで進みます。
【ステップ①】精密な初期診査・診断
口腔全体の精密検査(歯周検査・レントゲン・セファロ分析・口腔内写真・フェイシャル分析など)を行い、問題点を多角的に把握します。矯正・歯周・補綴の観点から統合的な診断を行い、治療優先順位と治療計画を立案します。
【ステップ②】歯周基礎治療(フェーズ1)
矯正治療を開始する前に、まず歯周環境を整えることが大原則です。スケーリング・ルートプレーニング(SRP)による歯周ポケット内の細菌除去、ブラッシング指導(口腔衛生指導)、必要に応じた歯周外科処置などを行い、歯周炎のコントロールを達成します。
【ステップ③】矯正治療(フェーズ2)
歯周環境が安定したことを確認した上で矯正治療を開始します。歯周病を持つ成人への矯正では、通常の矯正よりも慎重かつ軽い力での歯の移動が求められます。また、矯正治療中も定期的な歯周メインテナンスを継続し、環境の悪化を防ぎます。
【ステップ④】補綴・修復治療(フェーズ3)
矯正治療で歯の位置を整えた後、必要に応じてかぶせ物(クラウン)や詰め物(インレー)、インプラントなどの補綴処置を行います。矯正後に補綴を行うことで、より理想的な位置・形態での修復が可能になります。
【ステップ⑤】長期メインテナンス(フェーズ4)
治療完了後も、定期的な検査・クリーニング・咬合チェックを継続します。矯正装置が外れた後(保定期間)も、歯周管理と咬合管理を並行して行うことが、長期的な治療成果を維持するために不可欠です。
4. 包括的治療が特に重要なケース
以下のような方は、包括的治療の恩恵を特に受けやすいと考えられます。
成人で矯正治療を希望しており、歯周病の既往または現在歯周病を持つ方。歯並びの問題と歯肉退縮が同時に存在する方。過去に矯正経験があり、後戻りや歯周問題が生じている方。歯の喪失(欠損)があり、インプラントや義歯と矯正を組み合わせたい方。噛み合わせ(咬合)の問題を根本から解決したい方。

5. 当院の強み
当院は、矯正歯科と歯周治療(歯周専門的アプローチ)を両軸とする自費専門クリニックです。院長・綿引淳一は、矯正専門医としての豊富な臨床経験に加え、IORC(国際矯正研究連携)の代表として最新の研究知見を臨床に反映させています。また、東京理科大学をはじめとする研究機関との共同研究を通じ、咬合機能やセファロ分析(DIP法)などの分野でも最前線の知見を持っています。
「矯正もしたい、歯周病も治したい、でもどこに行けばいいかわからない」──そのようなお悩みをお持ちの方こそ、ぜひ一度当院の初診相談にいらしてください。

まとめ
包括的歯科治療(Interdisciplinary Treatment)は、患者さまの口腔の問題を「全体」として捉え、各専門領域が連携して解決を目指すアプローチです。矯正と歯周を別々に行うのではなく、統合的な治療計画のもとで進めることで、より安全で、より長期的に安定した結果を得ることができます。