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非症候性部分性無歯症
非症候性部分性無歯症とは?
非症候性(ひしょうこうせい)... 原因が特定できない
無歯症(むししょう)... 歯が無形成
つまり、交通事故など後天的なものが原因で歯を喪失したのではなく、生まれつきの先天的なものが原因で一部の歯が生えてきていない状態のことを非症候性部分性無歯症といいます。
非症候性部分性無歯症の例
症例1:20代
乳歯がぐらぐらする。永久歯が少なくこのままでは食事が出来ないと心配で来院。
永久歯の奥歯9本が先天的に欠損しております。また、乳歯が4本ありますが、乳歯は吸収しておりグラグラしております。
このような方は、矯正治療とインプラント等の補綴治療が不可欠です。黄色の矢印は、乳歯の晩期残存です。乳歯は本来抜けかわる歯ですから、これらの乳歯は30歳前後で自然に抜けてしまいます。
初診時年齢 | 28歳 |
---|---|
主訴 | すきっ歯 |
抜歯/非抜歯 | 非抜歯 |
治療期間 | 2年8ヶ月 |
費用 | 保険 |
治療のリスク | 歯の移動による痛み 装置が粘膜に当たることによる口内炎 ブラッシング不良による虫歯・歯周病の発生 |
副作用 | - |
治療内容/装置 | マルチブラケット 上下欠損部位に義歯 |



症例2:40代
歯の隙間が大きく、また、顎関節症であり、将来に不安を抱えて来院された40歳の方です。永久歯の前歯2本、奥歯4本が先天的に不足しており、奥歯1本は、負担が大きく歯科医院で抜歯されました。
初診時年齢 | 40歳 |
---|---|
主訴 | すきっ歯 |
抜歯/非抜歯 | 非抜歯 |
治療期間 | 2年6ヶ月 |
費用 | 保険 |
治療のリスク | 歯の移動による痛み 装置が粘膜に当たることによる口内炎 ブラッシング不良による虫歯・歯周病の発生 |
副作用 | - |
治療内容/装置 | マルチブラケット 上下欠損部位に2本インプラント (自費1本 40万程度) |

かろうじて、40歳に至るまで乳歯が1本残っています。(乳歯は本来10歳前後で全て抜け替わる歯です)

矢印部分は乳歯の晩期残存です。

矢印部分は、根が吸収されており、今にも抜けそうな状況でした。円部分の顎関節部位は、変形を来たし変形性顎関節症の病態を示しておりました。

変形性顎関節症のCT画像です。顎関節症によって下あごが歪んでしまっております。
先天的欠損歯(先天性欠如歯)がある人は、どのくらいの割合なのか?
2011年に日本小児歯科学会が発表した調査では10人に一人が永久歯が生まれつきないという結果が発表されました。
欠損が多かった部位は、第二小臼歯(前から5番目の歯)側切歯(前から2番目の歯)です。


先天的欠損歯(先天性欠如歯)の人が増えている背景は?
年々、永久歯の先天的欠損が増えている背景には、食生活の変化に伴う、アゴの大きさの退化に遅れて 歯の数の退化が起こっていると想像されますが、明らかな原因は分かっておりません。
非症候性部分性無歯症が引き起こすリスクは?
非症候性部分性無歯症を発現していても、大きな問題(かみ合わせや見た目等)がない場合、治療をする必要はありません。
しかし、本来、永久歯は親知らずを除き28本あります。健康面から考えると、最低でも24本は絶対に必要です。
非症候性部分性無歯症を放置しておくと、
- 空隙歯列弓(すきっ歯)などの審美障害
- 残りの歯の負担大きくなり歯周病やむし歯、破折などにより歯を失う可能性が大きくなります。
- 食べ物の咀嚼(そしゃく)が上手くいかず、消化器系の内蔵障害
を引き起す可能性があります。
非症候性部分性無歯症の治療方法は?
保険適応 | 保険適応外 | |
---|---|---|
部分入れ歯 | ◯
あり |
◯
針金の見えない入れ歯などは保険適応外 |
ブリッジ | ◯
あり |
◯
セラミックなどの材質を使用したブリッジは保険適応外 |
インプラント | ×
保険が適応されません |
◯ |
歯列矯正 | △
一部保険適応 |
◯ |
欠損歯が多い場合は、単独ではなく、それぞれの治療を複合させて行います。状況によって治療方法は変わりますので、歯科医師と相談の上、治療法を決定していきます。
6歯以上の先天的欠損歯がある方は、健康保険の適応対象となる場合があります。ただし、インプラント等の自由診療が必要な場合、矯正治療も自由診療になります。
- 育成医療・厚生医療指定
- 顎口腔機能診断指定施設
- 歯科矯正診断指定施設
の全てにおいて東京都知事から認められて指定を受けた歯科医院である必要があります。
非症候性部分性無歯症の治療例
治療例1
治療法: 矯正+審美義歯
歯の足りない部分を矯正で閉じる事ができる場合と矯正では閉じる事ができない場合があります。以下の例では、合計で8本の欠損があった為、矯正で4本分のスペースを閉じたのちに審美義歯での残りの4本分を補綴した例です。審美義歯を用いることで、インプラント治療に比べて治療費を抑える事が出来ました。
初診時年齢 | 28歳 |
---|---|
主訴 | すきっ歯 |
抜歯/非抜歯 | 非抜歯 |
治療期間 | 2年8ヶ月 |
費用 | 保険 |
治療のリスク | 歯の移動による痛み 装置が粘膜に当たることによる口内炎 ブラッシング不良による虫歯・歯周病の発生 |
副作用 | - |
治療内容/装置 | マルチブラケット 上下欠損部位に義歯 |



治療例2
治療法: 矯正+インプラント
以下の例は、矯正治療とインプラント治療によって審美的に理想をできるだけ追求して治療した例です。
初診時年齢 | 25歳 |
---|---|
主訴 | 開咬 上顎両側2番先欠 上顎右側7番先欠 |
抜歯/非抜歯 | 上下顎左右4番抜歯 |
治療期間 | 3年 |
費用 | 100万円 |
治療のリスク | 歯の移動による痛み 装置が粘膜に当たることによる口内炎 ブラッシング不良による虫歯・歯周病の発生 |
副作用 | - |
治療内容/装置 | マルチブラケット 上顎2番7番インプラント |

