はじめに
矯正治療を成功に導くために考慮すべき点、注意すべき点は数多くあります。それは治療計画、治療⼿技などの医学的配慮はもちろん⼤切ですが、患者とのコミュニケーションもまた⾮常に重要なポイントになってきます。 特に治療が⻑期に渡り、かつ⾼額な治療費が発⽣する矯正治療を始めとする⾃由診療においてしばしば患者が精神的・感情的問題が⽣じると対応は⾮常に困難となり、最悪の場合にはトラブルに発展することもあります。今回はその中でも歯科恐怖症と絡めてお伝えしていきたいと思います。
歯科恐怖症とは?
心の問題の1つに歯科恐怖症があります。
歯科恐怖症とは歯科恐怖症は、歯科治療や歯医者に対して極度の恐怖や不安を伴う症状です。この恐怖感は、単に緊張感や不快感だけでなく、パニック発作や身体的な症状を引き起こすことも少なくありません。
歯科恐怖症の症状は、心身両面に現れます。以下のようなものが含まれます。
身体的症状:発汗、手の震え、心拍数の増加、吐き気やめまいなど。
心理的症状:歯科治療の予約を取ることへの恐怖、治療を受けることを考えるだけでの不安や恐慌。
行動的症状:歯科診療の予約を遅延させたり、完全に避けたりする行動。
歯科恐怖症の原因とは?
歯科恐怖症の主な原因としては、過去に受けた苦痛を伴う歯科治療の経験が挙げられます。 特に、小児期に経験したトラウマ的な治療は、大人になっても長く影響を及ぼすことがあります。また、患者様の性格や、パニック障害などの精神疾患が原因となる場合もあり、一概に過去の治療経験だけが原因であるとは言えません。
矯正治療においての関わり方とは?
矯正治療は、口全体を十分に検査し、噛み合わせなどすべてのバランスを確認しながら、治療を進めていきます。ここでは、長期な治療となる矯正歯科治療を上手く進めていくための対応策をいくつかご紹介します。
- 十分なコミュニケーションをとる
担当の歯科医とオープンにコミュニケーションを取り、不安や恐怖について話すことです。
患者様の不安や恐怖を理解し、適切な対処法やサポートを提供することができます。
- 治療内容を十分に説明し提供する
未知の治療内容の不安や恐怖に対して事前に内容や期間などを把握しておくと軽減することができます。
- 痛みをコントロールする
どうしても痛みが強い場合や不安が大きい時は鎮痛剤や全身麻酔、
精神鎮静法を用いて痛みをコントロールし治療を進める場合もあります。
しかし患者様ごとに恐怖の対象が異なるのですべての方に適応されるというわけではありません。
- 治療後をイメージする
歯並びの改善や治療後の美しい笑顔をイメージしゴールに焦点を当ててポジティブな気持ちへ
持っていくことも効果的です。
- 適切な治療法(矯正装置)を選択する
矯正装置によって痛みの感じ方が違うので痛みを考慮して矯正装置を選ぶことも有効な手段です。
その為、幅広い治療法を提供しているクリニックを選択することも大切です。
また、器具による粘膜への刺激を軽減する材料もありますので痛みをコントロールしつつ治療を進めていくことができます。
- 緊張を感じにくいクリニック心掛ける
音やにおい、待合室の暗い雰囲気などリラックスできない要因が多いと不安を抱きやすくなります。
落ち着いた雰囲気や明るい待合室などの内装を持つクリニックを選択するのも心的疲労を軽減できます。
まとめ
歯科恐怖症は、誰もが抱える問題であり、歯科治療も患者の精神面に配慮するよう進化しています。歯科医師も、患者の不安に寄り添いながら、無理のない治療を進めるスキルが必要となります。また、VRを用いた方法や、音楽セラピーなども治療に取り入れられつつあり、今後はさらに心の問題を念頭に置いた新しいアプローチが期待されています。
【参考文献】
・https://www.ios-public.com/meeting#2021_3
・https://www.jda.or.jp/park/index.html
・https://aqua-kyousei.com/