矯正治療で歯茎が下がる現象は「歯肉退縮」と呼ばれ、多くの場合、歯肉そのものが原因ではなく、歯根が歯槽骨(歯を支える骨)の外側に出てしまうことで起こります。そのため、歯肉を移植するだけでは解決しないことがあります。
矯正治療のあとに歯茎が下がった。あるいは、治療中に少しずつ下がってきた気がする。こうしたご相談をいただくとき、私たちがまずお伝えしているのは、歯肉を移植すれば解決するとは限らない、ということです。
大切なのは、なぜ下がったのかを先に明らかにすることです。歯根が歯槽骨のどの位置にあるか。頬側の骨が残っているか。歯肉の厚みや角化歯肉の幅は十分か。これらを歯科用CBCT(コーンビームCT)と口腔内の診査で評価したうえで、歯周基本治療、歯の位置の修正、CTG(結合組織移植術)、根面被覆、O-PRO(矯正治療に最適化された歯周再生療法)などを組み合わせて方針を決めます。
当院は、矯正歯科と歯周治療の両方を院内で行っています。そのため「矯正を続けてよいのか」「先に歯を動かして戻すべきか」「移植が必要か」という判断まで含めて診断できます。他院で矯正治療を受けられた方、現在治療中の方のご相談も承っています。
本ページで扱う歯肉退縮に対する治療(CTG・根面被覆・O-PRO・非外科的歯周再生療法および関連する矯正治療)は、すべて自由診療(保険適用外)です。
費用・標準的な治療期間・主なリスクと副作用は「費用・治療期間・リスクと副作用」に記載しています。
本ページの内容に関するお問い合わせ:03-3281-4618(診療時間内)
院長
綿引 淳一(わたひき じゅんいち)
資格
- 歯学博士
- 日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医
- 日本矯正歯科学会 臨床指導医・認定医
- 日本歯周病学会 認定医
所属・役職
- 医療法人社団Teeth Alignment 理事長/東京日本橋AQUA歯科・矯正歯科 包括CLINIC 院長
- 昭和医科大学 歯学部 歯科矯正学講座 兼任講師
- IORC(Interdisciplinary Orthodontics Research Center)代表
- 日本包括的矯正歯科学会(JIOS)代表理事
主な研究領域
- 矯正治療と歯肉退縮(Ortho-Perio)/O-PRO(矯正治療に最適化された歯周再生療法)の開発/非外科的歯周再生療法の開発
主な著書・訳書
- 『包括的矯正歯科治療 審美と機能を両立するためのフィロソフィー』(単著・2023年・クインテッセンス出版)
- 『The Ortho-Perio Patient』(監訳・2023年・クインテッセンス出版)
- 『Mucogingival Esthetic Surgery』(Giovanni Zucchelli 著/日本語版 共訳)
- 『Plastic-Esthetic Periodontal and Implant Surgery』(Otto Zuhr ほか著/日本語版 共訳)
このようなお悩みでご相談にいらっしゃいます
- 矯正治療が終わったら、前歯の歯茎が下がって歯が長く見えるようになった
- 矯正中に歯茎が下がってきた気がする。このまま治療を続けて大丈夫か不安
- 他院で「経過を見ましょう」と言われたが、このままでよいのか判断がつかない
- 歯茎が薄いと言われた。これから矯正を始めて大丈夫か知りたい
- 歯の根元がしみるようになった
- 歯茎の移植をすすめられたが、本当に必要なのか確かめたい
- 骨が少ないので矯正は難しいと言われた
歯肉退縮は、鏡を見るたびに気になる一方で、「今すぐ何かが起きるわけではない」ために相談のきっかけをつかみにくい症状です。進行しているのか、していないのかを知るだけでも、判断はずいぶん楽になります。
歯茎が下がった原因を調べずに歯肉を移植しても、
解決しないことがあります
「歯茎が下がったので移植してほしい」というご相談を多くいただきます。しかし、歯肉移植だけを行っても、原因が残っていればふたたび退縮することがあります。
たとえば、歯根が歯槽骨の外側に寄っている場合、その位置のまま歯肉だけを足しても、支える骨がないため長期的な安定は期待しにくくなります。この場合は、矯正で歯根を骨の中へ戻してから軟組織の処置を行う、という順序が必要になることがあります。
逆に、歯の位置に問題がなく歯肉の厚みだけが不足しているケースでは、移植のみで対応できることもあります。
同じ「歯茎が下がった」でも、必要な治療は人によって異なります。だからこそ、治療法を決める前に診断が必要です。
なぜ矯正治療で歯茎が下がるのか
矯正治療そのものが歯肉退縮を起こすわけではありません。もともとの歯周組織の条件と、歯をどこへどれだけ動かすかの組み合わせによって、リスクが変わります。原因は大きく4つに分けられます。
歯肉が薄い(thin periodontal phenotype)
歯肉が薄く、下の血管が透けて見えるタイプの方(thin periodontal phenotype)は、退縮が起こりやすいことが報告されています。日本人には薄いタイプが多いとされます。
アメリカ歯周病学会(AAP)のBest Evidence Consensusでは、薄い歯周組織に囲まれた歯や、歯槽骨の外側へ歯を移動させた場合に、骨の裂開や歯肉退縮の発現率が高くなり得ると述べられています。
出典:Kao RT, et al. American Academy of Periodontology best evidence consensus statement on modifying periodontal phenotype in preparation for orthodontic and restorative treatment. J Periodontol. 2020.
頬側の歯槽骨が薄い、または欠損している
歯根が歯槽骨の外へ出る方向に動いている(ハウジング不足)
歯を動かせる範囲は、歯槽骨の輪郭によって決まっています。この「歯根が収まっていられる骨の内側の空間」をハウジング(alveolar housing)と呼びます。
唇側傾斜や歯列の側方拡大では、歯根がハウジングから外れる方向に動くことがあります。抜歯をせずに歯を並べるために歯列を大きく拡大した場合などに、起こりやすい状況です。
歯肉退縮の本質は、歯肉の不足ではなくハウジングの不足にあります。
骨の外へ歯を動かせば、歯肉退縮は結果として起こります。そして、ハウジング不足は見た目の問題にとどまりません。動かした歯をその位置に保てるかどうか(保定)、抜歯をせずに治療できるかどうか、歯列をどこまで広げられるか ―― 治療の適応範囲そのものを左右します。
治療前から炎症や退縮がある
プラークが停滞し歯肉に炎症がある状態で歯を動かすと、退縮が進みやすくなります。治療前からすでに退縮している部位は、悪化しやすい部位でもあります。
なお、歯ぎしりや噛み合わせと歯肉退縮の関連についても検討されていますが、歯肉退縮には複数の要因が関与するため、噛み合わせのみを原因と判断することはできません。
当院が診断で確認する項目
| 確認する項目 | 何を見ているか |
|---|---|
| 歯肉のフェノタイプ | 歯肉が薄いか厚いか |
| 角化歯肉の幅(KT) | 歯肉に十分な幅があるか |
| 退縮の量と分類 | 退縮の深さと、歯と歯の間の付着の残り方(Cairo RT分類) |
| 頬側骨の状態 | 骨が残っているか、裂開や開窓がないか |
| 歯根の位置 | 歯根が歯槽骨の中(ハウジング内)に収まっているか |
| 今後の歯の移動方向 | これからどこへ、どれだけ動かす予定か |
| 炎症・清掃状態 | プラークの付着、歯肉の炎症の有無 |
骨と歯根の位置関係は、歯科用CBCT(コーンビームCT)で三次元的に評価します。ただし画像から得られる骨の厚みには計測上の限界があるため、口の中の所見と合わせて判断します。
なぜここまで確認するのか。歯肉退縮は「見えている部分」だけでは判断できないためです。同じ見た目でも、歯根が骨の中にある場合と外に出ている場合とでは、必要な治療がまったく変わります。
治療の選択肢
歯肉退縮に対する治療は、大きく5つあります。どれを選ぶかは診断結果によって決まり、組み合わせることもあります。
歯周基本治療と経過観察
すべての歯肉退縮に外科処置が必要なわけではありません。まず進行しているかどうかを見極めることが、過剰な治療を避けることにつながります。
歯の位置を修正する(矯正治療)
CTG(結合組織移植術)・根面被覆
歯を動かせる範囲は、歯槽骨の輪郭によって決まって歯肉の厚みや幅が不足している場合、上顎の口蓋から採取した結合組織を移植し、歯肉の厚みを回復させます。露出した歯根面を歯肉で覆う根面被覆を併せて行うこともあります。当院ではマイクロスコープを用いて行っています。
CTGには、実施する時期の選択肢があります。
- ・矯正治療を始める前に行う
- ・矯正治療中に行う
- ・歯を動かし終えてから行う
- ・矯正を行わず、移植のみで対応する
どの時期を選ぶかによって結果が変わることがあります。この判断には、今後どこへ歯を動かす予定かという情報が必要です。
O-PRO(矯正治療に最適化された歯周再生療法)を併用する
骨の欠損を伴う場合、歯肉だけを回復させても十分ではありません。この場合は、骨を含む歯周組織への治療を併用したうえで矯正を行います。当院ではこれを O-PRO(Optimized Periodontal Regeneration for Orthodontics/矯正治療に最適化された歯周再生療法)と呼んでいます。院長が開発した術式です。
詳しくは「O-PRO(矯正治療に最適化された歯周再生療法)について」をご覧ください。
非外科的歯周再生療法(特許第6208904号)
切開や麻酔を行わずに歯周組織の環境を整える方法です。歯周基本治療の段階から適用でき、外科処置の前準備としても、外科を選択しない場合の対応としても用います。
詳しくは「O-PRO(矯正治療に最適化された歯周再生療法)について」をご覧ください。
O-PRO(矯正治療に最適化された歯周再生療法)について
O-PRO(Optimized Periodontal Regeneration for Orthodontics/矯正治療に最適化された歯周再生療法)とは、矯正治療で歯を動かすことを前提に設計された歯周組織再生療法です。当院院長の綿引淳一が開発し、2020年に国際学術誌 The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry に症例集積研究として報告しました。
歯を支えているのは、歯肉だけではありません
歯茎が下がると、どうしても「歯肉が足りない」ことに目が向きます。しかし、歯を支えている組織は歯肉だけではありません。歯は4つの組織(歯周組織)によって支えられています。
| 組織 | 役割 |
|---|---|
| 歯肉 | 歯の根元を覆い、外からの刺激や細菌の侵入を防ぎます |
| 歯槽骨 | 歯が植わっている骨。歯を動かせる範囲(ハウジング)を決めます |
| 歯根膜 | 歯と骨のあいだにある薄い繊維の層。歯を骨につなぎとめ、噛む力を受け止めます。矯正治療で歯が動くとき、骨をつくり変える働きの中心になるのがこの歯根膜です |
| セメント質 | 歯根の表面をおおう層。歯根膜の繊維がここに結合します |
このうち、矯正治療で歯を動かすときに中心的な役割を果たすのが歯根膜です。歯根膜が骨をつくり変えることで、歯は少しずつ移動します。逆に言えば、歯根膜と歯槽骨が失われた部位では、歯を動かすこと自体が難しくなります。
CTG(歯肉移植)でできること、できないこと
一方で、CTGのあとの治り方には特徴があります。移植した歯肉は、歯根の表面に薄く貼りつくかたちで治癒することが多く、歯根膜の繊維が歯根に結合し直す(本来の付着が再びできる)ことは限られていると報告されています。専門的には「長い接合上皮による治癒」と呼ばれます。
つまりCTGは、歯根を「覆う」ことはできても、歯を「支える仕組み」そのものを取り戻す治療ではありません。
歯肉の厚みだけが不足しているケースではこれで十分です。しかし骨と歯根膜が失われている場合は、覆っても支えは戻りません。ここが、CTGとO-PROの分かれ目です。
従来の歯周再生療法が、矯正治療に使いにくかった3つの理由
歯周組織の再生療法そのものは以前から存在します。ただし、矯正治療と組み合わせるには3つの壁がありました。
| 壁 | 内容 |
|---|---|
| ① 適応が合わない | 再生療法で結果が安定しているのは、骨の中に落ち込んだ形の欠損(骨内欠損)や、奥歯の根の分かれ目(根分岐部)です。歯茎が下がる原因になりやすい、頬側の骨が縦に裂けたような欠損(裂開)は、もともと適応外とされてきました |
| ② 順序が合わない | 従来の再生療法は「失われた組織を回復させること」自体が目的で、そのあとに歯を動かすことは前提にされていませんでした |
| ③ 材料が邪魔をする | 骨を増やす一般的な方法では、人工の移植材が長く残ります。残った材料は骨のつくり変えを妨げるため、歯が動きにくくなったり、歯根が短くなる(歯根吸収)リスクにつながることがあります |
軟組織だけを扱う治療では歯を支える仕組み(付着装置)が得られず、硬組織だけを扱う治療では適応が合わない。この間を埋めるために設計したのがO-PROです。
O-PROの考え方
「造ってから動かす」のではなく「動かしてから造る」
O-PROの最大の特徴は、再生の手術に先立って、先に歯を動かしておくという順序にあります。この歯の移動をLET(Lateral Extrusion Technique/側方挺出法)と呼びます。
先に歯を動かすことで、骨の欠損の位置と形を、再生に適した形にあらかじめ整えます。そのうえで、体に置き換わる性質の異なる移植材を使い分けて骨をつくり、最後は矯正力で仕上げていきます。
従来:骨を造る → そのあと歯を動かす(残った移植材が邪魔をして動きにくい)
O-PRO:先に歯を動かす(LET)→ 欠損の形を整えてから造る → 矯正力で仕上げる
O-PROには、目的に応じた術式の分類があります
O-PROは単一の術式ではなく、何を回復させるかによって使い分ける術式群です。実際の症例では、上下顎で異なる術式を同時に用いることがあります。
| 分類 | 対象 | 使う場面 |
|---|---|---|
| O-PRO P1a | 軟組織のみ(結合組織移植による歯周組織造成) | 歯を舌側へ大きく動かす予定があり、歯肉退縮が予想される場合。骨を足すと顎の位置(B点)が前へ動いてしまう症例で、骨を足さずに歯周組織を守りたいとき |
| O-PRO P1b | 硬組織を含むボーンハウジングの拡大 | 歯列を拡大する、あるいは骨の外へ歯を動かす必要がある場合に、あらかじめ歯を動かせる範囲そのものを広げるとき |
たとえば2025年に Journal of Esthetic and Restorative Dentistry に報告した症例では、上顎の歯列拡大に先立ってO-PRO P1bでボーンハウジングを拡大し、下顎前歯部では骨を足さずにO-PRO P1aで軟組織のみを造成しました。下顎前歯を4.6mm舌側へ動かす計画であり、歯肉が薄いタイプの患者さんであったため、退縮を防ぎつつ顎の位置を変えないという二つの条件を同時に満たす必要があったからです。治療後5年の経過が安定していることを報告しています。
患者さんにとっての意味
見た目だけの問題ではありません
O-PROは単一の術式ではなく、何を回復させるかによって使い分ける術式群です。実際の症例では、上下顎で異なる術式を同時に用いることがあります。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 動かせる範囲が広がる | 歯を動かせる範囲は歯槽骨の輪郭(ハウジング)で決まります。骨が不足しているために「抜歯が避けられない」「歯列を広げられない」「矯正は難しい」とされていた方でも、選択肢が広がる可能性があります |
| 保定(後戻りの防止)に関わる | 歯根が骨の中に収まっていない状態は、動かした位置を保ちにくい状態でもあります。歯根をハウジングの中に収めることは、見た目のためだけでなく、治療結果を長く保つための条件です |
| 歯周組織の健全性 | 歯根が骨に覆われ、清掃しやすい歯肉の形が得られることは、長期的な歯周組織の安定につながります |
| 矯正と並行できる | 再生処置のために矯正治療を長く中断する必要がありません |
歯根膜を含む付着装置がどの程度再生するかについては、現在も臨床・基礎の両面から検証を進めている段階です。すべての方で同じ結果が得られるものではなく、結果には個人差があります。当院は、分かっていることと分かっていないことを区別してご説明します。
適応と限界
O-PROはすべての方に行える治療ではありません。適応は、歯根の位置、骨欠損の状態、歯周組織の状態、全身の状態などを総合的に評価して判断します。また、以下の点をあらかじめご理解ください。
- 再生の程度には個人差があり、追加の処置が必要になる場合があります
- 高度な外科処置であり、一般的な口腔外科処置に準じたリスク(処置後の痛み・腫れ・知覚の鈍麻など)を伴います
- 処置後の経過は、清掃状態や喫煙などの影響を受けます
- 矯正治療が併せて必要になります
当院では、O-PROが適応でないと判断した場合には、その旨をお伝えしています。
研究と国際共同研究チーム
O-PROは、院長が顎の骨の性質に関する基礎研究から取り組み、開発したものです。顎の骨が体幹や四肢の骨とは異なる特徴を持つことを報告し、その知見をもとに術式を組み立てています。
現在は、以下の機関と国際共同研究チームを組織し、O-PROの効果を臨床・基礎の両面から検証しています。
- 昭和医科大学 歯学部 歯科矯正学講座
- 東京科学大学 咬合機能矯正学分野
- フローニンゲン大学(University of Groningen/オランダ)
- IORC(Interdisciplinary Orthodontics Research Center)
IORCは院長が2024年に設立した研究組織で、国際学術誌に掲載された論文の著者所属としても記載されています(J Esthet Restor Dent. 2025)。
関連する原著論文
- Watahiki J, Ono R, Maeda M, Hiranuma T, Naito S. Optimized Periodontal Regeneration for Orthodontics (O-PRO): A Case Series. Int J Periodontics Restorative Dent. 2020;40(6):835-842.
- Watahiki J, Wada A, Suzawa T, Izawa H, Onizuka H. Dual Esthetic Enhancement of Class III Profile and Gummy Smile With Facial Esthetic Bone Augmentation and Orthodontic Therapy. J Esthet Restor Dent. 2025;37(6):1316-1332. doi:10.1111/jerd.13436
- A New Method for Alveolar Bone Repair Using Extracted Teeth for the Graft Material. J Periodontol. 2010.
- Differences in the developmental origins of the periosteum may influence bone healing. J Periodontal Res. 2014.
- Localization and osteoblastic differentiation potential of neural crest-derived cells in oral tissues of adult mice. Biochem Biophys Res Commun. 2015;464(4):1209-14.
学会発表
O-PROは単一の術式ではなく、何を回復させるかによって使い分ける術式群です。実際の症例では、上下顎で異なる術式を同時に用いることがあります。
| 年 | 学会 | 演題 |
|---|---|---|
| 2016 | 第116回 AAO(米国矯正歯科学会) | 歯肉退縮を伴った矯正患者への新しい再生療法の有効性に関する検証 |
| 2017 | 第117回 AAO | 歯周組織再生療法を組み合わせた成人矯正治療に関する臨床研究 |
| 2018 | 第94回 EOS(欧州矯正歯科学会・エディンバラ) | A Novel Periodontal Regeneration Procedure Can Expand Patients with Safety |
| 2019 | APM 2019(台北) | Novel Optimized Periodontal Regeneration Procedure for Orthodontics |
| 2026 | 第85回 日本矯正歯科学会大会 | 矯正治療と歯肉退縮の真実と最前線[要確認:開催年月・正式演題区分] |
非外科的歯周再生療法(特許第6208904号)について
CTG・O-PRO・非外科的歯周再生療法の違い
O-歯茎が下がったときの治療としてよく混同される3つの治療は、対象としている組織と目的が異なります。
| CTG (結合組織移植術) |
O-PRO (矯正治療に最適化された歯周再生療法) |
非外科的歯周再生療法 | |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | 歯肉(軟組織) | 歯槽骨・歯根膜を含む歯周組織 | 歯周組織の環境(歯根面・細菌) |
| 目的 | 歯肉の厚み・幅の回復、歯根面の被覆 | 歯を支える組織の再生と、歯を動かせる範囲の回復 | 切開せずに歯周組織の状態を整える |
| 適している状態 | 骨は保たれ、歯肉の厚みが不足している | 骨の欠損を伴う/骨が足りず矯正が難しいとされた | 外科処置を避けたい/外科の前準備/歯周基本治療の段階 |
| 外科処置 | あり(口蓋から採取) | あり | なし |
| 矯正との関係 | 時期を選んで併用 | 矯正を前提に設計(LETを先行) | 並行して実施可能 |
| 治り方の特徴 | 長い接合上皮による治癒が主体 | 付着装置の再生を目指す(検証中) | [要確認] |
| 特許 | ― | ― | 特許第6208904号 |
歯茎が下がった原因が歯肉の薄さだけであればCTGで対応します。骨の欠損を伴う場合はO-PROを検討します。両方の要素がある場合は併用することもあります。この見極めのために、当院ではCBCTで骨の状態を確認しています。
治療方針の決め方
当院では、次の5つの順序で方針を検討します。この順序で考えることで、「とりあえず移植する」という判断を避けられます。
| 順序 | 確認すること | 判断 |
|---|---|---|
| 1 | 炎症があるか | あれば歯周基本治療を先行します |
| 2 | 歯根が歯槽骨の中(ハウジング内)に収まっているか | 外れていれば歯の位置の修正を検討します |
| 3 | 歯肉の厚み・角化歯肉の幅は十分か | 不足していればCTGを検討します |
| 4 | 骨の欠損があるか | あればO-PROの併用を検討します |
| 5 | 矯正治療が進行中か、終了しているか | 実施する時期を決定します |
費用・治療期間・リスクと副作用
自由診療である旨
費用(税込)
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 矯正相談 | [要記入] |
| 精密検査・診断(CBCT含む) | [要記入] |
| CTG(結合組織移植術)/1部位 | [要記入] |
| 根面被覆/1部位 | [要記入] |
| O-PRO/1部位 | [要記入] |
| 非外科的歯周再生療法 | [要記入] |
| 矯正治療(全顎) | [要記入] |
| 調整料(1回) | [要記入] |
| 保定装置 | [要記入] |
標準的な治療期間・回数
| 治療 | 標準的な期間 | 標準的な回数 |
|---|---|---|
| 歯周基本治療 | [要記入] | [要記入] |
| CTG・根面被覆 | [要記入] | [要記入] |
| O-PRO | [要記入] | [要記入] |
| 非外科的歯周再生療法 | [要記入] | [要記入] |
| 矯正治療(全顎) | [要記入] | [要記入] |
主なリスク・副作用
- 効果には個人差があり、期待した被覆量・再生量が得られない場合があります
- 処置後に痛み、腫れ、内出血が生じることがあります
- 経過は清掃状態や喫煙の影響を受けます
- 採取部(口蓋)に創傷が生じ、一定期間、痛みや出血を伴うことがあります
- 移植片が生着しない場合があります
- 歯肉の色調・形態が周囲と異なることがあります
- 一時的に知覚過敏が強まることがあります
- 高度な外科処置であり、一般的な口腔外科処置に準じたリスク(術後の痛み・腫れ・知覚の鈍麻など)を伴います
- 再生の程度には個人差があり、追加の処置が必要になる場合があります
- 矯正治療を併せて行う必要があります
- [要記入]
- 歯根が短くなること(歯根吸収)があります
- 治療後に歯並びが元に戻ろうとすること(後戻り)があります。保定装置の使用が必要です
- 歯の神経が失活することがまれにあります
- 顎関節に症状が出ることがあります
未承認医薬品・医療機器の使用について
本ページの内容に関するお問い合わせ
症例
よくあるご質問
院長の経歴・研究業績
院長 綿引淳一は、矯正治療と歯周組織の関係を研究テーマとし、国内外の学会で発表を続けています。
歯肉退縮・Ortho-Perioに関する講演
歯肉退縮と歯周組織を主題とした講演を、学会・研究会から継続して依頼されています(下表は関連する演題の抜粋。招聘講演・学会発表は2001年以降130件超)。
| 年月 | 依頼元 | 演題 |
|---|---|---|
| 2026年4月 | 大韓矯正歯科学会(韓国) | [要確認:演題] |
| 2026年3月 | 情熱会 | オルソペリオ研究戦略とMagic Evidence:AIが拓くOrtho-Perio臨床研究の未来 |
| 2026年1月 | 第8回 日本先進矯正歯科学会 学術大会 | AIが導く新時代の包括的矯正診断とOrtho-Perioの可能性 〜ボーンハウジングからの解放〜 |
| 2025年11月 | 東北矯正歯科学会 秋季セミナー | 歯肉退縮の再考 |
| 2025年11月 | 熊本矯正研究会 | なぜ矯正治療で歯肉が下がるのか? ― 矯正治療の長期安定の鍵は歯周組織、特に歯根膜の維持にある ― |
| 2025年7月 | グローバルエイト | 矯正治療でなぜ歯肉退縮が起こるのか? 歯根膜の可能性と生物学的限界 |
| 2025年5月 | 日本歯周病学会 | 歯周治療における矯正治療の有効性と留意点 |
| 2024年6月 | 日本臨床歯周病学会 第42回年次大会(大阪) | Phenotype Modification Therapy:エビデンスと新たな可能性 |
| 2023年4月 | 日本臨床歯周病学会 中国四国支部 教育講演会 | 矯正学的視点からみた歯周再生療法の新たな可能性と今後の課題 |
受賞
歯肉退縮と歯周組織を主題とした講演を、学会・研究会から継続して依頼されています(下表は関連する演題の抜粋。招聘講演・学会発表は2001年以降130件超)。
| 年 | 受賞 |
|---|---|
| 2004・2006・2009・2010年 | 日本矯正歯科学会 優秀発表賞(4回) |
| 2014年 | 第114回 AAO(アメリカ矯正歯科学会)Joseph E. Johnson Clinical Award |
| 2018年 | 東京SJCD Award(全顎的歯肉退縮を伴う重度叢生症例を歯周組織再生療法と矯正治療で治療した6年経過症例) |
| 2022年 | SJCD合同例会 優勝 |
O-PROの発展
FABA(顔貌審美的骨造成)
O-PROは、歯を支える骨を回復させることで歯を動かせる範囲を広げる術式です。この考え方をさらに進め、骨を足すことで顔貌の側貌そのものを改善する術式がFABA(Facial Esthetic Bone Augmentation/顔貌審美的骨造成)です。
上顎前歯の付け根にあたるA点の骨を造成して前方へ移動させることで、これまで顎の骨を切る手術(外科矯正)でしか対応できないとされてきた骨格性の側貌の問題に、手術を行わずに近づける可能性があります。2025年に Journal of Esthetic and Restorative Dentistry に、A点を約4mm前方へ移動させ、5年経過が安定している症例を報告しました。
歯肉退縮・歯周形成外科に関する訳書
- 『Mucogingival Esthetic Surgery』(Giovanni Zucchelli 著/日本語版 共訳)
- 『Plastic-Esthetic Periodontal and Implant Surgery』(Otto Zuhr ほか著/日本語版 共訳)
国際学術誌への掲載論文
査読付き国際学術誌に12編(PubMed収載/2026年8月時点)。いずれも責任著者として発表したものです。米国矯正歯科学会(AAO)公式誌 Am J Orthod Dentofacial Orthop、米国歯周病学会(AAP)公式誌 J Periodontol、国際歯科研究学会(IADR)公式誌 J Dent Res など、矯正歯科と歯周病学それぞれを代表する学会の公式誌に掲載されています。
| 年 | 誌名・巻号ページ | PMID |
|---|---|---|
| 2025 | J Esthet Restor Dent. 37(6):1316-1332 | 39957586 |
| 2020 | Int J Periodontics Restorative Dent. 40(6):835-842 | 33151188 |
| 2015 | J Periodontal Res. 50(4):468-478 | 25225160 |
| 2015 | Biochem Biophys Res Commun. 464(4):1209-1214 | 26225748 |
| 2014 | Am J Orthod Dentofacial Orthop. 146(3):355-363 | 25172258 |
| 2014 | Neuroscience. 263:257-268 | 24444829 |
| 2010 | J Periodontol. 81(9):1264-1272 | 20476887 |
| 2010 | Eur J Orthod. 32(1):66-70 | 19648440 |
| 2008 | Bone. 42(6):1053-1060 | 18337200 |
| 2004 | J Dent Res. 83(3):245-249 | 14981128 |
| 2003 | Orthod Craniofac Res. 6(4):233-241 | 14606527 |
| 2003 | Orthod Craniofac Res. 6 Suppl 1:168-172 | 14606552 |
矯正相談のご案内
歯茎が下がっているのかどうか、進行しているのかどうかは、ご自身では判断が難しい部分です。当院の矯正相談では、まず現状を確認し、考えられる原因と選択肢をご説明します。その場で治療をお決めいただく必要はありません。
他院で治療中の方、治療を終えられた方のご相談も承っています。
| 内容 | |
|---|---|
| Web予約 | 矯正相談を予約する |
| 電話 | 03-3281-4618(診療時間内) |
| 所在地 | 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-4-1 浮世小路千疋屋ビルYUITO ANNEX 4階 |
| アクセス | 三越前駅 直結/日本橋駅 徒歩4分 |
| 相談料 | [要記入] |
歯科医師の先生へ
矯正治療に伴う歯肉退縮、歯周組織の欠損を伴う成人矯正について、他院の先生からの患者さんのご紹介を承っております。専門分野のみを担当し、治療終了後に貴院へお戻しする形にも対応しています。